僕がライ麦畑でつかまえて

異性交遊は大人への入口であり、社会への服従の対象、そして憧れの対象でもある。しかし、子供でなくなることの恐怖から内心は対立しており、ホールデンはエレベーターホールに売春を誘われ、一度は承諾するも断るのである。
他の事象でも、大人への憧れと子供でなくなることの恐怖が対立している。
見栄を張りたい欲望と純粋無垢であるべきだという考えは対立している。
世の中で生きていくためには妥協が必要で、建前も必要である。悪意のある詐欺まがいのことも必要悪とされる。
これら、大人の社会は俗物的で欲に塗れ汚く内心で対立しているようにホールデン自身もそれに侵蝕されかかっている。だからこそ、妹のフィービーなど、幼い純粋無垢である子どもたちがライ麦畑で遊んでいるときに崖から落ちないように捕まえるのが僕のやりたいことだと言う。